第14章 ep.13 守りたいもの
モーリス
「もう良いだろう?あまり汝を傷付けたくないんだ」
一歩ずつゆっくりと近付いてくるモーリスに向かわなくてはならないのに、リディアの体力は大幅に削られていて中々立ち上がれずにいる
──ドォンッ
リディア
「……っ?」
リディアの背後にある扉が大きな音をたてて開き、確認しようと振り向くと─…
ヴィンス
「俺が君の考えてる事が分からないとでも思った?…俺の傍から離れるなんて許さない」
フリント
「嗚呼、そうだ。俺がこいつから取り返さなきゃなんねーのにお前がいなくちゃ意味ないだろ」
ヴィンス
「取り返すって…君のだった事なんてないだろう?」
フリント
「お前等に会う前は俺のだったんだよ」
シディ
「おいおい、俺を忘れてもらっちゃ困るな…俺が一番、長いんだからさ」
ノム
「ったく。やってる場合かよ」
ミフウ
「全くだ」
ヴィンス
「そうだね。この話は彼を倒してから腰を据えてしっかりしよう」
フリント
「だな。さっさと終わらせるぞ」
入ってくるなりぽんぽんと軽やかな会話をしているものの、彼等の視線はモーリスから揺れる事などなく闘志に燃えていた。
リディア
「皆…どうして…」
ミフウ
「あんたは皆のため、あたし等はあんたのために動いたらこうなったのさ」
モーリス
「ふふ、これは厄介だなぁ」
そう言いつつもモーリスは余裕たっぷりの笑みで五人を見据える。
ヴィンス
「……行くぞ」
ヴィンスが静かに告げると全員がしっかりと頷き床を蹴る
リディア
「皆、駄目…!」
モーリスの強さを身をもって体験したリディアは、慌てて声をあげる。
リディア
(私は利用したいから絶対に殺さない…けど、皆は人間だ。容赦なく彼は殺す…皆を守らなきゃ…!)
リディアは痛む身体を起こす。
五人は鮮やかな連携をとって、モーリスに至るところから攻撃を仕掛けるも全て見えているかのように避けてしまう