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苦しみの [   ]

第14章 ep.13 守りたいもの




モーリス
「吸血鬼だけの世界を作るにはリディア…汝が必要なんだ。汝は他の吸血鬼とは違う…あの薬にだって、汝なら耐えられる」


あの薬、というのは吸血鬼の力を活性化させるものだも理解すればリディアは嫌そうに顔を歪める


モーリス
「今まで見込みがありそうな者に試してみたが…駄目だった。だが、汝は違う。五桁の父と四桁の母から生まれたのだからなぁ…そして、瞳の色も鮮やかになったと聞いた。自らで活性化できるなど、素質があるどころではない。汝は吸血鬼の中でもっとも優れた姫である…吸血姫となるのだ」

リディア
「……沢山、色々聞かせてくれてるけど…私は吸血姫になるつもりも、貴方達の仲間になるつもりもない!」

モーリス
「ほぉ?…まぁいい、ヒューリ。行動に移れ」

ヒューリ
「はいよ」


そう残してヒューリは部屋から出て行った。
リディアは未だ椅子に座ったまま余裕な笑みを浮かべているモーリスを見ながら、腰にかけていたダガーを両手に握る


モーリス
「仕方がない…汝がそれを求めるのなら相手しよう。力付くでリディア…汝を私の物にする」


ゆったりとした動作で立ち上がるのと同時にリディアは床を蹴り一気にモーリスとの距離を詰め、ダガーを振るもモーリスは優雅にかわす


リディア
「……っふ…!」

モーリス
「ふふ、顔に似合わず逞しい攻撃ばかり繰り出してくるんだねぇ」


素早くダガーで斬りつけたり、蹴りを繰り出すも不思議なほどにモーリスには当たらない


リディア
「くっ…!」


なのに、モーリスからの攻撃は当たり前のように当たり腹部にめり込む拳にリディアの身体は曲がる。
苦痛で落としてしまったダガーの音が部屋に響く


モーリス
「汝が私に勝てるなんて…有り得ないんだよ」


それを聞くとリディアは痛みを堪えてモーリスを押すと、バク転をして距離をとる


リディア
「はぁ…っ…はぁ」


リディアは片膝をつき腹部を押さえながら肩で息をしている、彼女とは違いモーリスは息一つ乱れていない



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