第13章 ep.12 通じ合った心
【リディア side】
シディが帰ってから数日が経った。
フリントとノムも体調が戻り、今では前と同じ生活が出来ていて凄く安心した。
だからこそ、私の中での不安は日に日に大きくなり…自分の予想が正しいのではないかと思い始めた。
というよりも今回の事ではっきりしたかもしれない。
これは…わざと皆を狙ってるんだ。
モーリスが言っていた言葉を思い出していた
『いずれ汝の方から此方へ来る事になる』
その通りになろうとしている今、私は自室で奥歯を噛み締めた。
少しずつでも、私は覚悟を決めなきゃ…
【No side】
リディア
「ねぇ、ヴィンス」
ヴィンス
「ん、何だい?」
自室にいたリディアは皆がいるリビングへと戻り、ソファに腰掛けてコーヒーを飲みながら本を読んでいたヴィンスに声を掛けると彼は柔らかい笑みをリディアへ向けた
リディア
「聞きたい事があるの。良い?」
ヴィンス
「嗚呼、俺に答えられる事なら」
リディア
「…ヴィンスが何で吸血鬼を助ける為の薬を作ってるのか、知りたい」
予想もしていなかった問が投げられればヴィンスは一瞬、驚いたようにしたがすぐに笑みを浮かべ本を閉じリディアへ視線を向ける。
その場にいた全員がヴィンスの事を見る
ヴィンス
「良いよ。…俺は貧しい村で両親と三人で仲良く暮らしていたんだ。フリントと同じ様に盗みだって何でもした…生きていくためにね」
リディア
「想像できない…」
ヴィンス
「そう?俺にもそういう時代はあったよ。…むしろ貧しい人の方がまだ多いでしょ、世の中」
リディア
「確かに」
貧しく盗みをしていたヴィンスが今の姿からは想像できなくてリディアは、何度も頭に浮かべてみたが結局は無理で諦めた