第12章 ep.11 潜入と不安材
ヴィンス
「見せるため…って」
リディア
「ただの予想でしかないけど…毒も死なない量で調節されてたと思うし、フリントのは浅いけど切られた傷が多いから血量が凄くて重症に見える…そうなってるのを見せたいんだよ」
ヴィンス
「成る程…だとしたらそれは、リディアに見せたい…のかもしれないな」
ヴィンスの言葉にリディアは心臓を握られた様な気分になった。
リディア
(私のせいで二人は…)
ヴィンス
「でも、それは俺の予想でしかない」
リディア
「それが本当だとして……ヴィンスやミフウも怪我したら…っ…そんな、そんなのやだよ…っ」
ヴィンス
「リディア、落ち着いて」
取り乱したリディアは自分を落ち着かせようと拠点を出る。
すると、冷たい夜風が身体を包み冷やしてくれるが…落ち着けそうにないリディアは空を見上げた
ヴィンス
「リディア」
出て行ったリディアを追ってきたヴィンスの声に振り向き、泣きそうな顔で笑う
リディア
「やっぱりやだ…皆が傷付くの、見たくない…っ…もし…もしも、居なくなっちゃったら…!」
泣き出してしまうリディアを見てヴィンスは近付き強く抱き締める。
リディアは自分がヴィンスの腕の中にいる事に驚いたが、今はとても安心した
ヴィンス
「大丈夫。……大切な人を置いて居なくなったりしないよ」
リディア
「……え?」
耳元で聞こえたヴィンスの言葉にリディアは固まる。
大切な人…というのは、仲間としてだろうかと恋愛初心者な頭で考える。
そして、同じく恋愛初心者なヴィンスはこのタイミングで告げるつもりはなかったらしく内心、苦笑する
だが、言ってしまったものは仕方がないと開き直りリディアの身体を少し離して見詰める
ヴィンス
「二人が大変な時に…言ってる場合ではないと思うんだけど、さ」
リディア
「うん?」
ヴィンス
「リディア」
リディア
「?」
何だろう、と不思議そうにリディアはヴィンスを見上げる