第12章 ep.11 潜入と不安材
ミフウ
「皆、自分の家へは帰れるのか?」
男の子1
「帰れるよ!匂いを辿れるから!」
ミフウ
「そうか、偉いな」
男の子3
「助けてくれて、ありがとう!」
男の子2
「ありがとう!」
各々でお礼を述べる子供を見て全員、助けて良かったと改めて思うのだった。
子供達が帰っていくのを見送るとリディア達も拠点へと脚を向けた
─ドサッ
リディア
「ノム…!」
先程まで元気だったノムの身体が揺れ大きな音をたてて倒れてしまった
フリント
「おい、どうしたっ」
リディア
「ミフウ、これ…!」
ミフウ
「…これは」
矢が当たったと言っていた手の甲が紫に染まっていて、リディアはその手を掴んでミフウに見せる。
ミフウは眉間にシワを刻み
ミフウ
「毒だね。…死んだりはしないが、相当辛い筈だ。多分、声も出せないだろうね。…早く運ぼう!」
彼女の声に全員が頷き、フリントがノムを背負いそう遠くない拠点へと走る
─────…
────…
医務室のベッドに寝転がるノムをミフウは暫く様子を見る。
顔色はまだ悪く目も覚まさないが、危険な状態でない事が分かっているだけでも安心できた
ヴィンス
「ノムは?」
ミフウ
「眠ってる。…顔色は悪いし呼吸も荒いけど、暫く休んだら治る。心配いらないよ」
その言葉を聞いた三人はリビングの机に項垂れた
リディア
「良かった…」
ヴィンス
「にしても、何で毒なんかが」
リディア
「矢が手の甲に当たったって言ってた」
フリント
「誰かがノムを狙ってたっつー事か」
リディア
「そうだしたら…誰が」
考えても出ない答えを悩むのを全員がやめ、今はノムが早く回復するのを願った