第12章 ep.11 潜入と不安材
入ってきた最初の扉まで辿り着くとフリントはそこで止まり、懐中時計を確認する
フリント
「そろそろだな…」
ヴィンス
「や、お待たせ」
ノム
「結構いたな…」
時間ぴったりに扉の前に現れたヴィンスとノムに合流をして、ヴィンスを先頭に廊下へ出る。
リディア
「ノム…手の甲、怪我してる」
ノム
「ん?あぁ…急に矢が飛んできてよ」
リディア
「矢?」
ノム
「ん。けど、どっから飛んできたかも誰がやったのかも分かんなかったわ」
リディア
「身体に異常はないの?」
ノム
「ねーよ」
その言葉に安心をして子供達を見る。
フリント
「にしても、相当潰したな」
ヴィンス
「だろ?」
フリント
「おう。すげぇ動きやすい」
ヴィンス
「頑張って正解だったね。流石にこの人数での移動はバレるからね」
フリントが頷くとそこからは誰一人、言葉を発する事なく廊下を進む。
リディア達は色んな所へと視線を滑らせ、子供達も迷惑かけないようにと静かに音をたてずに歩く
ヴィンス
「此処だ」
一つの扉を開くとそこは外が暗い事もあっていっそう見付かりにくくなった森だった。
ヴィンスとフリントが先に出てその後に子供達が出て行くのを、室内でリディアとミフウとノムが見守る
ノム
「これで全員だな。…俺等も出よう」
それに頷くと三人も外へと出て扉を閉める。
ヴィンス達を追い掛けるように森の中へと入っていく
ヴィンス
「はー、此処まで来れば安心だ。…皆、良く頑張ったね」
そう声を掛けられた子供達は嬉しそうに声を出して喜ぶ。
その姿を見てヴィンス達は安堵したように笑う
リディア
「皆、あの屋敷で何もされなかった?」
男の子1
「されなかったよ!ただ、着てる服が汚いからって違う服に着替えさせられた」
男の子2
「この洋服、綺麗だけど、動きにくいのこれ!」
正装服の袖を振りながら男の子が言うのでリディアはしゃがみ込んで男の子の頭を撫でる
リディア
「似合ってて格好良いよ」
男の子2
「へへ、ありがと!でも、いつもの服の方が好きっ」
兎に角、子供達が何もされていないという事だけがリディア達は嬉しかった