第12章 ep.11 潜入と不安材
ヴィンス
「にしても…まぁまぁ男っぽくなったね」
ノム
「けど、ちっこいな…特にリディア」
リディア
「身長はどうにもならないよ」
《身長表》
リディア…155。フリント…187。ヴィンス…180。ノム…178。ミフウ…165。
ヴィンス
「ま、良いんじゃないかい?」
フリント
「何とかなる」
ノム
「けど、不思議な感じだな」
リディアとミフウを見てノムは二人が絶対に着ないタキシード姿にそう呟くと同意するようにヴィンスとフリントは頷く
ヴィンス
「さて、行こうか」
ヴィンスのその言葉により全員の表情は真剣そのものにかわる
大きな屋敷に辿り着くとそれぞれが指定の位置につき、全員がバラバラの場所から屋敷へ侵入する。
そして、何事も無かったかのようにこの屋敷に勤めている存在として歩く。
合流する時間は決まっているため、全員が懐中時計を忍ばせている
リディアは一番、近付きやすいという事で売買を運営しているセレアーニ婦人の目に入りそうな位置で雑務をこなす
リディア
(薬飲んでなかったら確実に酔ってた…)
大きなホールへ集まっている、色とりどりのドレスを纏う婦人達を見てリディアは一人思う。
リディア
(聞こえてるよ…)
運ばれてきた食事を切り分けている最中にリディアの耳に入ってきたのは、顔を歪めたくなるような婦人達の会話だった
婦人1
「まぁ、本当」
婦人2
「綺麗なお顔をしてるわね…しかも、吸血鬼なんでしょう?」
婦人3
「ええ。セレアーニ婦人の目は相変わらず良いですわね」
婦人1
「綺麗な銀の髪ねぇ」
婦人3
「あんな綺麗なお顔の吸血鬼の方とまぐわいながら吸血されたいわ」
それは間違いなくリディアに向けられている言葉と性的な視線。
リディアは聞こえてないふりをしてその場を後にする