第11章 ep.10 一時の休息を
リディア
「え?フリント用事があったんじゃ…」
フリント
「おお、馬連れてくるっつーな」
フリントの言葉通り人数分の馬が並んでおり、ミフウとノムは既に乗っていた
フリント
「ほら、お前等も早く来いよ」
ヴィンス
「嗚呼。…乗ろう、リディア」
リディア
「うん」
三人も馬へ乗るとヴィンスが先頭を歩き出すのに全員がついていく。
リディア
「何処へ行くの?」
ヴィンス
「ついてからのお楽しみさ」
そう言われてリディアはフリントに視線を向けるも、どうやらヴィンスしか目的地は知らないようで首を振られた。
空気は冷たいが暖かい日差しを浴びて馬の蹄音を聞く、まったりとした時の流れにリディアの心は少しだけ解されていた
それから暫く馬に揺られて辿り着いたのは─…
リディア
「わぁ…!」
フリント
「ほぉ?」
ノム
「すっげぇ」
ミフウ
「……へぇ」
各々がそれぞれに反応するのをヴィンスは嬉しそうに眺めた
ヴィンス
「どうだい?」
リディア
「綺麗な海…」
そう、ヴィンスは海の見える隣街へと皆を連れてきたのだ。
ヴィンス
「取り敢えず宿に荷物と馬を置いてから行こう」
フリント
「だな」
彼等が住み処にしている街よりも貴族がおらずリディアはそのきらびやかさがないだけでも、この街に居心地のよさを感じた。
泊まる宿に馬も預けられる為、預けた後に荷物を部屋に置くと彼等は砂浜へと降りてきた
リディア
「ひぃ…やっぱり寒い」
フリント
「はは、確かにな」
ミフウ
「けど、冬の海も中々綺麗じゃないか」
波打つ海を見ながら会話をする。
リディアは寒さでマフラーに顔を埋めながらも日が当たりきらきらと光る水面をじっと眺める
リディア
「ミフウ、あそこまで行こ!」
ミフウ
「え?…あ、こらっ。引っ張るんじゃないよ!」
寒さに目を細めていたミフウの手を掴みリディアは波打ち際まで連れていった