第10章 ep.09 不気味ワルツ
リディア
「何で人類を滅ぼす為に私を道具の様に利用しようとしてる人の所なんかに行かなきゃいけないの」
リディアは眉間にシワを刻みながら嫌悪を露にしながら告げるが、モーリスは笑みを崩さない
モーリス
「もうそんな事がバレているのか…まぁ良い。勘違いしないでくれリディア…私は汝を道具だなんて思っていない」
リディア
「そんな言葉…信じられるわけない。それに私は人類が滅びる事なんか望んでない…!」
モーリス
「おや…そうなのかい。ふふ…まぁ、今はそれで良いよ。今日は一先ず此方へ来る様に勧誘しに来ただけだ。考えておいて?…ただ…私は汝を捕らえる手を休めない……いずれ汝の方から此方へ来る事になる」
リディア
「……っ…そんなわけない!」
つらつらと好き勝手に物を告げるモーリスにリディアが声を荒らげると、彼は色気を纏ったまま背中を向けて歩き出す。
すぐ近くにリディアがいるにも関わらずモーリスは捕らえようせず、本当に会話をしに来ただけなのだと…その行動さえリディアは不気味に思えた
リディア
「二人を…起こしてよ!」
モーリス
「大丈夫だよ。暫くしたら目が覚めるから…じゃあ、またねリディア」
そのまま闇夜にモーリスは溶け込んでいった。
リディアは何とか一人ずつを少し引き摺るように木へ凭れ掛からせるようにして、目の前に座り様子を見る。
リディアは自分が身に纏っていたコートを脱ぎ、二人の太腿辺りにかけて少しでも暖を与える
リディア
「……全然、目が覚めない」
白い息と共に不安を吐き出す。
このまま目が覚めなかったら…そんな負の方向へと進む思考を振り払うように首を軽く振る
ノム
「……ん」
眠っていたノムの唇から僅かな声が溢れた後、震えた瞼が持ち上がり黄色の瞳が見える。
それに僅か遅れてシディの持ち上がる中で緑の瞳がリディアへ向けられれば彼女は泣きそうになった