第10章 ep.09 不気味ワルツ

男1
｢調子に…っ…乗りやがって…！｣

リディア
｢……口だけは、元気だねっ｣


二本のダガーで一人の男の攻撃を防ぎ弾くと、そのまま腹部へリディアは踵をめり込ませる


ノム
｢……っ…リディア、危ない！｣

リディア
｢…!?間に合わな…っ｣


体勢が整っていないリディアへ別の男がナイフを振り翳すと焦ったように声をあげ










──ガギンッ






リディア
｢…っ…シディ…！｣

シディ
｢よっ、大丈夫か？｣


オレンジの三つ編みを揺らして笑うシディが振り下ろされたナイフを細い刃で受け止めていた


男3
｢格好つけてんじゃ…な…っあが…!!｣


体勢を整えた可愛らしい顔をした男がシディへ斬りかかるも彼は素早く滑るような動きで首と心臓を刺す。
灰になるのを見る事もなくリディアへ振り向く


シディ
｢変な音がすると思って来てみたが…まさかこんな事になってるとはなぁ！リディア、ノム怪我はねぇか？｣

リディア
｢シディのお陰でしなくて済んだ｣

ノム
｢俺も無傷｣

シディ
｢へっ…流石だ｣


会話をする三人を見て先程までは数が勝っていた男達は急に二人だけになれば焦った顔をする


男6
｢くそ…厄介なのは女吸血鬼だけじゃなかったのかよ！｣

男7
｢あの人間だって…強いし、新しい吸血鬼まで来ちまったよ｣

男6
｢けど、やるしか…！｣

ノム
｢一気に行くぞ！｣

リディア
｢うん｣

シディ
｢おう！｣


その場にいる全員が間合いを詰めるが、ノムが突き出した槍の先は見えない速度で男二人の心臓を貫き


リディア
｢やぁ…！｣

シディ
｢よっと…！｣

男6
｢ああぁ─!!｣

男7
｢ぎぃあ…！｣


ノムの攻撃により動きが止まった二人にいつの間にか背後に回っていたリディアとシディが同時に首を斬りつけると、男達は灰になった


リディア
｢終わった…｣

ノム
｢あー…流石に疲れた｣


息を吐き出す二人を見てシディは明るく笑ったが、次の瞬間…三人の表情は険しくなる