第10章 ep.09 不気味ワルツ
リディア
「助けられなくて…ごめんなさい」
そうリディアは謝り既に亡くなっている女性に頭を下げる。
街の何処かで誰かが吸血鬼の食事になって亡くなっている…そんなのは日常茶飯事だ。
自分でやったわけでもないのに謝罪するリディアの肩へノムは手を乗せた。
ノムを見上げてから立ち上がったリディアは何かに気付き、ノムの腕を掴んで走り出した
ノム
「お、おいっ…どうしたんだよ!」
リディア
「良いから!今は走って…!」
何かは分からないがリディアの声にノムは、今はそうするしかないと理解し引っ張られるままに走る
リディア
「はぁ…っ…」
ノム
「…っ…で、どうしたんだ」
暫く走り見張らしの良い場所で止まると息を整えながらノムはリディアへ問い掛ける
リディア
「何かは…分からない、けど…誰かがこっちを見てた」
ノム
「見てた?見てただけで、逃げてきたのか?」
リディア
「多分…追い掛けてくると思う」
ノム
「は?」
答え合わせをするように、しんと静まり返る空き地へいくつもの足音が聞こえてノムは辺りを見渡す
ノム
「ちっ…何だよ、あいつ等」
眉間にシワを刻むノムの視線の先には七人の男がにたにたと下品な笑みを浮かべて立っていた
リディア
「ノム」
ノム
「任せろよ」
そう片方の口角をつり上げてノムは腰に刺していた細かいパーツを繋ぎ合わせて槍を作る。
それを見たリディアも腰にかけていたダガーを握る
リディア
「貴方達…何者?」
男1
「名乗らなくても分かってるんじゃねーのか?」
ノム
「リディアを…捕まえに来た吸血鬼か」
男1
「正解」
相変わらず下品な笑みを浮かべている男達は二人を囲い込む。
二人は様子を窺いながらも互いに背中合わせになる
ノム
「はっ、あんた等ごときにリディアは捕まえれねーよ」
男2
「はぁ?」
ノムの挑発するような笑みと言葉に男達は青筋をたてる。
ノム
「それ分かってっから、あんた等のボスとやらは大勢で行かせたんだろ?信用されてねーなぁ?」
男3
「言わせておけば…好き勝手、言ってくれるじゃん」
可愛らしい顔をした細身の吸血鬼が表情をひきつらせる