第10章 ep.09 不気味ワルツ
更なる信頼を深めたり、互いの想いを知った日から数日が経ち、リディアは違和感を感じていた
フリント
「視線?」
リディア
「うん。常に誰かに見られてる様な」
夕飯後に話されたリディアの言葉に全員が表情を険しくする
ヴィンス
「様子を窺っているのかな」
リディア
「シディが言ってたんだけど、ヒューリは必ずボスの言い付けは守るけど少しの間は動かないんじゃないかって。…でも、その間も他の人は来るから気を付けろって」
ヴィンス
「成る程。じゃあ、その他の人とやらが機会を狙っているのかもね」
ノム
「今日、買い出しだろ?俺も買いたいもんあるから、一緒に行こーぜ」
リディア
「あ、うん」
いつの間にかこの拠点の生活品の管理やらがリディアの担当になっていた。
彼女のお陰でヴィンス達の生活水準は圧倒的に上がったのだが、難点は彼女しかその生活用品が分からないため買ってくるという事が出来ない。
そして、吸血鬼であるため人間よりも強い彼女なら大丈夫だろうと思っている所も多少あるのだが、囲まれてしまったり何かあったら困るので誰かがついていく
リディア
「あー…すっかり遅くなっちゃったね」
ノム
「だな。俺の用事にも付き合ってもらっちまったから仕方ないな」
リディア
「でも、ノムが気に入った物が見付かって良かったね」
もう少し薄暗い時に出掛けた筈だったが、いつの間にか空は暗くなっていた。
ノムの欲しかった物を最後に買い出しは終わった
リディア/ノム
「……?」
路地で何か影が動いた気がして二人が同時に視線をやると、首筋を吸血鬼に噛まれている女性が居た。
それを見ると二人は申し訳なさそうにしながら視線を地面へやった
“もう助からない”
それが、見ただけで分かってしまったから。
女性の全身の力は入っておらず、既に抵抗すらしていない。
吸血鬼が満足した様に女性を離すと口元の血を拭って路地の奥へと消えていってしまった
二人は滑り落ちた女性の元へ向かうとしゃがみ