第10章 ep.09 不気味ワルツ

ミフウ
｢あたしは男じゃないから何とも言えないが、嫌われないと思うよ。寧ろそんな事で嫌うような奴はやめちないな。…それにね、ちゃんと好きだって気持ちが大事だよ。それさえあれば大丈夫さ｣


リディアはミフウの話をじっと聞き、最後には微笑んでいた


リディア
｢気持ち、だね。……もう私なんてって思うのやめる。こんなに私を受け入れてくれてる人達が此処には居るんだもん｣

ミフウ
｢嗚呼そうさ。…きっと、すぐに恋なんて出来ちまうよ｣

リディア
｢え？｣

ミフウ
｢独り言さ｣

リディア
｢そ？｣

ミフウ
｢うん。…リディア、何かあったら何でも相談しな。男には言いづらい事だってあたしになら言えるだろ？一人で抱え込むんじゃないよ｣

リディア
｢……ありがと｣


拠点に来てからリディアは今までにかけられた事ない程の優しい思いに包まれて何度、感動したか分からない。
そして、リディアはまだ分からない恋に“吸血鬼だから”と言い訳にしないように極力、努力をしようと思った




──その頃



フリント
｢イヤリングねぇ…｣

ノム
｢…洒落た事してんのな｣

ヴィンス
｢え、何？…ヤキモチ妬いてんのー？｣


にやにやと嬉しそうに話すヴィンスに二人は嫌そうに顔を逸らす。


フリント
｢つか、ノム…お前もだったのかよ…｣

ノム
｢わ、悪いかよ｣

ヴィンス
｢仕方ないでしょ。誰も踏み込んでこなかった領域に例外がいたんだから｣

ノム
｢うるせぇな…｣


紅潮した頬を隠すようにノムは首を掻く


フリント
｢今まで焦る必要なんてなかったのによ｣

ヴィンス
｢二人だったんだもんねぇ｣

フリント
｢まぁな｣


ヴィンスの言葉にフリントは自慢気に胸を張るが、すぐにヴィンスへ視線を向ける


フリント
｢お前、最近まで気付いてなかっただろ｣

ヴィンス
｢え、何で本人よりも先に気付いてんの、怖｣

フリント
｢何と無くだっつーの｣

ヴィンス
｢あ、そう？｣

ノム
｢けど、俺等は仲間だぞ｣

ヴィンス
｢そうそう。仲間割れとか無しだよ？｣

フリント
｢んな事すっかよ、ばーか｣


公言していたフリントは別に、ヴィンスとノムはこの日、自分達が同じ人物に想いを寄せている事を知った