第8章 結局格好いいリヴァイ先生
「り、・・・・・・理事長!俺、ッい、いえ私は・・・・・・お・・・お嬢さんとその、・・・・・・お、おおお付き合いを・・・させて頂いておりまして・・・!」
結婚前の男と女。
と、女の両親。
愛し合う男女の前に大きく立ちはだかる一大イベント、いわゆる『お嬢さんを俺に下さい!!』は、いつの時代における男にとってもこの上なく緊張感の高まる場面だ。
現に私が盗み聞きをしているこの部屋の中がそうだった。
貸し切ったホテルの個室。
何も知らぬまま中へと押し込められたその憐れな男性こそ、このドッキリ作戦のターゲットだった。
見合い会場だったはずの室内は男性の登場によって一転し、たちまち結婚申し入れの場として成り代わっている。
しかし、当然と言えば当然だが男性の緊張具合は見ているこちらがハラハラしてしまう程ヒドい。
結婚の申し入れと言う非常に大事な場面であるのに、それを騙し討ちによって強引に敢行させてしまったのはやはりマズかったのではないだろうか。
まさか失敗で終わったりなんてこと・・・・・・。
ドッキリの仕掛け人でありながらシレッとした表情を貫く先生を、私は目一杯の不安と共にそっと覗き見た。