第15章 箱庭に流れる音色
「それも一理あるな!だが髪色かぁ……染め粉だと2日で取れねぇし。カツラも今からだと手配できっかどうか」
そんな悩める天元を前に更紗と杏寿郎は何か思い出したようで、同時に顔を見合せた。
「今更だが、更紗は髪を伸ばせるのではないのか?!」
「はい!すっかり忘れていましたが伸ばせたはずです!あれ以来試していなかったので出来るか分かりませんが……試してみます!」
目の前で髪を伸ばす伸ばさないなど、よく分からない会話を繰り広げる2人に、天元は悩むことも忘れてポカンと口を半開きにして呆然としている。
だが呆然とした天元を置き去りに事はどんどん進み、腰を下ろしたまま更紗が結い上げている髪を解き、手を頭に当て力を解放すること数秒。
呆然から驚愕へと天元の表情が変化した。
「な、っんだそりゃ?!どうなってんの?!え、姫さんの力って髪も伸ばせんのか?」
その言葉通り、更紗の髪は腰ほどの長さから毛先が畳に掠るほどの長さまで伸びていた。
「よもやよもやだ!本当に伸びるとはな!宇髄、更紗、これで髪色の件は解決するではないか!髪を染めても伸ばして切れば万事解決だ!」