第15章 箱庭に流れる音色
「ひとまずここへ座ってくれ。更紗がちょうど茶の準備をしてくれているので、2人で話しを聞く」
「すまねぇな……って姫さんだけか?他の奴らはどうした?」
天元は縁側から居間へと上がり、勧められた卓袱台の前へ腰かけて3人と禰豆子の木箱をキョロキョロと探している。
「少年たちは昨日から任務に出ていて、あと2日経たんと戻って来ない。今任務へ赴けるのは更紗だけだ」
なんとも間が悪い時に来訪してしまった天元は杏寿郎を凝視して固まってしまった。
そこへ機嫌よく盆で急須と湯呑みを運んできた更紗が姿を現し、こちらは天元を見て固まってしまった。
そんな更紗を見て杏寿郎は笑みを零し、立ち上がって盆を受け取ってやる。
「更紗、宇髄から以前にあった依頼を覚えているか?君が正式に例の任務へ同行することが決まった。俺もまだ詳しく聞いていないので、共に任務内容の確認をさせてもらおう」
「それで天元君が……奥様たちは……あ、すみません!湯呑みをもう1つ取ってくるので少しお待ちください」
事情を察した更紗は一瞬表情を曇らせたが、客人である天元の分の湯呑みを取りに台所へと早足で向かっていった。