第15章 箱庭に流れる音色
鍛錬が厳しさを増す中、与えられた任務や杏寿郎との同行任務を日々こなし、全員がヒィヒィ言いながらも着実に階級を上げていった。
更紗は1つ上がり乙、炭治郎たちは列車の任務からここまでで己まで上がった。
そんな厳しい日々の合間を縫って、更紗は隔週でしのぶの元へと足を運び、研究の素となる力の提供を行ったり、少しばかり研究の手伝いをしていた。
その甲斐あってか思いのほか研究が進み、力の中期保存が可能となり、痣の副作用を抑える薬もあと一歩で完成するところまでこぎつけた。
念の為とその抑制剤を1本渡されているが、今のところ使用するには至っていない。
そして炭治郎は煉獄家でビリビリに破かれた歴代炎柱の手記を、破いた張本人である槇寿郎から少しずつ教えてもらい、ヒノカミ神楽について学んで頭に叩き込んでいるところである。
自分の継子たちが順調に成長する姿を杏寿郎が喜んでいたある日、杏寿郎にとって願っていなかった任務が更紗に訪れた。
「邪魔するぜー。煉獄、悪ぃけど姫さんと3人借りてく。前に依頼してた任務だ……嫁たちからの連絡が途切れちまった」
珍しく静かに姿を現した天元を、杏寿郎には家の中へ招き入れるしか出来なかった。