第14章 研究と緊急招集
「はい!今日はあまりお姿を見れませんでしたので。よろしければお風呂の準備をしていますので、疲れを落としてきてください。その後、お疲れでなければお味噌汁でも一緒にいかがでしょう?」
そう言って手を握る更紗に、杏寿郎は顔を綻ばせて廊下へと足を運ばせる。
「なんとも贅沢な出迎えで恐縮するな!感謝する!」
杏寿郎は更紗の手を引き、先ほどまでとの溌剌とした雰囲気とはうってかわり、まるで気持ちを落ち着かせるように抱き締めて首元へと顔をうずめた。
そんな杏寿郎に更紗も少し首を傾げるが、広い背中に自分の腕を回して様子を伺うことにした。
暫くそうしていると、杏寿郎がポツリと小さく言葉を落とす。
「更紗は本当に身体能力の上昇の副作用を克服したのか?」
この言葉が出るということは、今日の緊急招集でその副作用が何か 判明したのだろう。
少し気落ちしている理由が分かり、更紗は杏寿郎の背を安心させるようにゆっくりとさする。
「私の感覚が正しければ克服しているはずです。その副作用がどういったものかお聞きしてもよろしいですか?」
「……過去に痣が発現した剣士は、例外なく25歳までに命を落としたそうだ。強大な力を得る代償はその者の命との話しだった」