第14章 研究と緊急招集
まさかの任務発言に更紗は大慌てで夕餉の支度に取り掛かろうと家の中に足を踏み入れたが、台所に続く廊下で杏寿郎に手首を掴まれたかと思うと、あっという間に横向きに抱えあげられた。
「わわっ!……杏寿郎君?」
「そんなに焦る必要はない!今日は担当地区の警邏だ、最近は日も高くなってきたので時間に余裕がある」
そう言って更紗の額に唇を落とすと、抱きかかえたまま台所まで移動して行く。
そうして台所に到着するも、もちろんこのまま調理など出来ないので、杏寿郎は名残惜しげに更紗の体をギュッと抱きしめなおしてから、ゆっくりと床へ下ろしてやった。
「家の中に更紗の姿があると、つい構いたくなってしまうな!今日は任務で夜は共に出来んが、こうして肩を並べて夕餉を作るのも悪くない!」
「それは嬉しい限りです!杏寿郎君のお体に負担がないのであれば、そばにいてください。私もこうした時間が大好きなので」
炭治郎たちが死にものぐるいで家へと足を動かしている間、2人はそんな継子たちを労うために仲良く肩を並べて夕餉の支度を始めた。