第14章 研究と緊急招集
杏寿郎は蝶屋敷で更紗と会う度に珍妙な光景を見せられている。
1度目は小芭内との微妙な雰囲気を醸し出し、2度目はカナヲの前でニコニコ笑いながら特大瓢箪を抱える姿だ。
いつも杏寿郎でさえ予想だにしない事をやってのける継子は、ニコニコ笑顔のまま杏寿郎の問いに答えた。
「これを破裂させるのですが、今すぐには出来そうにないので持って帰ります!」
「持って帰る?!……いや、肺を鍛えるならばそれはうってつけだな!その向上心には感服する!ぜひ持って帰ろう!」
さすが肉体派師弟。
同じ鍛錬をこなし同じ呼吸を使えば似てくるのかもしれない。
鍛錬に関することに人目を気にしないところもそっくりだ。
「栗花落少女、更紗が世話になったな。感謝する!今度我が家へ遊びに来てくれ!女子同士語り合うこともあるだろう?」
肉体派と言えど細やかな気遣いが出来る杏寿郎である。
晴れやかな笑顔をカナヲに向けると、カナヲも嬉しそうに微笑んで頷き返した。
「はい、その日が来ることを楽しみにしています。あ、私、師範呼んできます。少し待っていてください」
そう言い残してカナヲは縁側に上がり、パタパタと廊下を早足で進んで行った。