第14章 研究と緊急招集
「剣士たちの力量の低下も問題となっているし、現段階ではそれが妥当なところか」
「そういう事です。まぁでも、力量に関しては何かしらの改善が必要ですが……その前に更紗ちゃんの回復が先です。帰ったら採血をして、朝との血中成分の違いを調べます。その間、更紗ちゃんはお部屋で休んでいてください。煉獄さんもお時間に余裕がありましたら、一緒にお部屋にいてくださって構いませんよ」
相変わらずの穏やかな笑顔を2人に向けるしのぶに更紗と杏寿郎は頷き返し、3人で山を下って行った。
それから3日が過ぎ、更紗の退院日となった。
その間、更紗は溜まった力の有効活用として、長期保存や身体能力上昇に伴う副作用の抑制などの研究のために、いくつもの小さな瓶に放出させてしのぶへと預けた。
あとは毎日の診察と採血を行ってもらい、たまに庭の散策をして過ごしていた。
それ以外は鬼師範の杏寿郎が入院2日目の帰り際に渡してきた、炎の呼吸の指南書に目通す日々である。
曰く
「なかなか読み応えがあるぞ!これで気持ちを落ち着けるといい!」
とのこと。
何をもって気持ちが落ち着くのかは更紗にも分からない。
だがせっかく持ってきてくれたので、こうして昼に迎えが来るまでの時間も読みふけっている。