第14章 研究と緊急招集
むしろ身体能力が上がっている本人が1番分かりそうなものだが、何分副産物として偶然出来たことなので分からないのも無理はないのかもしれない。
「今は悩んでも仕方ありません。確認出来ることを確認して緊急招集に挑みますので、更紗ちゃんもそれまで待っていてください。ほら、煉獄さんが1人うずうずしているので戻りましょう」
杏寿郎の方を見て笑うしのぶにつられてそちらを見ると、こちらへ足を動かそうかやめようかと体を揺らしている杏寿郎が目に入った。
その姿が少し可愛くて更紗は暫く見ていたい気持ちになるが、心配しているからこその不思議な動きになってしまっているので、脳内に焼き付けるにとどめ杏寿郎の元へと歩み寄った。
「お待たせしました。体のどこにも痣は見当たり……」
「それより大事ないか?!苦しさや痛みはないのか?」
両肩を優しく掴み自分の体のあちこちを観察する杏寿郎の姿が愛おしく、更紗は目を弓なりに細めて笑顔になる。
「どこも痛くないですし苦しさもありません。ご心配、ありがとうございます。異変があったのは瞳の色だけですよ」
それに反応して杏寿郎は更紗の瞳を至近距離で覗き込み、少し心配げに眉をひそめながら更紗の頭に自分の頭をそっと預けた。