第14章 研究と緊急招集
腕や足、浴衣の中を探すも見当たらない。
後は背中だがそこはどうしても確認が出来ないので、木からひょこっと顔を出してしのぶに声をかける。
「しのぶさん、すみませんが背中を確認していただけませんか?」
「フフッ、そうでしたね」
クスクスと笑いながら早足で声のした木蔭へ移動して、恥ずかしげに浴衣をはだけさせている更紗の背中を確認する。
そこには白い肌があるだけで、やはり痣は見当たらない。
「痣はありませんね。更紗ちゃん、瞳を見せてもらえますか?」
「あ、はい。色は薄くなっていますか?」
いつもの綺麗な赫い瞳は、杏寿郎の証言通り水を混ぜたかのように薄くなっていた。
「薄くなっていますね。痣だと濃くなりそうなものですが…… 更紗ちゃんの場合はもしかすると、これが痣なのかもしれません。さぁ、まずは浴衣を着直してください。体を壊しては大変ですから」
しのぶに促されるまま更紗はいそいそと浴衣の襟元を正し、応接室から気になっていた痣について質問する。
「今更なのですが、痣が発現するのと身体能力上昇は繋がりがあるのですか?」
「繋がりがあるとは思いますが、私たちも詳しくは分からないのです。お館様からの指示で、こうして更紗ちゃんに痣の発現があるのかを確認をさせてもらっているだけなので」