第14章 研究と緊急招集
そう言って立ち上がるしのぶに更紗は頷き返した後に首を傾げた。
「どこかへ移動するのですか?」
「はい、ここでは技の威力を見せて貰えませんからね。裏山へ行って空に向かって技を放ってもらいます。木刀は道場にありますので、そこへ寄ってから裏山へ移動です」
確かにここで技を放てば建物に穴があいてしまう……
更紗と杏寿郎はその惨事を思い浮かべ、冷や汗をかきながら同時に立ち上がってしのぶの後に続いた。
そして裏山へ到着した現在、更紗は柱2人に見守られながら右手に木刀を握りしめて呼吸を整えている。
(今は無尽蔵に動く必要はないので、血液に大量の酸素を取り込ませて……)
肺へと酸素を目一杯吸い込み一気に体へと血液と酸素を送り出すと、覚えのある感覚が蘇ってくる。
通常では考えられないほどの心拍数、急激に上がる体温、そのくせやけに明瞭な意識、軽くなる体。
全ての条件が整い、両手でキツく木刀を握りしめ構える。
「炎の呼吸 伍ノ型 炎虎」
2色の炎を纏った虎は、杏寿郎のそれにも劣らぬ速度、威力で空へと駆け上がっていき、裏山にはその影響で暴風が吹き荒れた。
「とてつもないな! 更紗、体に異常がなければ痣の確認を!」
「こんなにも……あ、そこで確認してはいけません。木陰に隠れてください!」
杏寿郎の言葉にハッとした更紗はその場で確認しようとしたが、しのぶに止められ慌てて木陰へ移動して身体中をくまなく痣がないか確認を行う。