第14章 研究と緊急招集

しのぶの気持ちは杏寿郎も理解出来るが、立場の違いを今は言っていられない状況だと首を左右に振った。

「立場は違えど同じ鬼殺隊士に変わりはない。先の任務では上弦の鬼が動き出した。それに加え宇髄の今受けている任務でも、上弦の鬼が関与している可能性があるのだ。これから予想される熾烈な闘いに、身体能力の上昇は必要不可欠……これ以上悲しみを増やさぬために更紗の協力は欠かせない」

しのぶは返す言葉が見つからず、眉をひそめて杏寿郎を見返す。
そんな事をしても意味はないと分かっているが、これ以上柱でもない……ましてや甲でもない更紗に負担を強いるのが憚られるのだろう。

「しのぶさん、信じてください。指切りの約束を破らないと誓います」

そこへ更紗から断わりづらい言葉が加わる。
これに対して断ってしまえば、信じていないということになってしまう。

更紗と杏寿郎の真剣で頑なに意見を曲げようとしない表情を目の前に、何を言っても無駄だと悟りついにしのぶが折れた。

「分かりました。では更紗ちゃんに試してもらいます……何度も言いますが、くれぐれも無茶をしないように、いいですね？」