第14章 研究と緊急招集

いつもならすぐに自分の元に戻る鏑丸がおらず、慌てて来た道を戻る。
杏寿郎もその後をゆっくりついて行きながら、更紗の胸中に巣食っている思いに胸を痛める。

(よもやそのように考えていたとは……何がきっかけでまた感情が暴発しなければいいのだが)

今はそう考えるしか出来ないのがもどかしいが、自分から更紗が打ち明けるまで深く追求も出来ないので見守る選択を取った。

そんな事を考えていると、部屋に戻ったはずの更紗と更紗から鏑丸を引き取っている小芭内の姿が目に入った。
更紗も杏寿郎の姿を見つけたようで、笑顔で手を振ってきたので、気持ちを切り替え笑顔で応じる。

「更紗、鏑丸を伊黒に返していたのか？」

「はい、うっかり渡しそびれてしまいまして……伊黒様、鏑丸さんってすごく感情表現が豊かで可愛らしいですね！また一緒に遊ばせてください」

相変わらず澱みのない笑顔を向ける更紗に、小芭内は優しげに目を細めそっとその頭に手を置いた。

「また会った時にな。それより月神、君は人にばかり気にかけて自分の感情を押し込みすぎだ。俺が言えた義理ではないが、煉獄も思い悩んでいるようなので、たまには弱音も吐いてやれ」