第14章 研究と緊急招集
あの何とも形容し難い状況の理由が判明し、杏寿郎は納得すると共に胸に痛みを感じた。
「ふむ……なぜと言われると、更紗はそのような少女だからだとしか言いようがない。俺も更紗が自分の事をそう思っていたという事実に驚いているが……血云々よりも、伊黒の持ち合わせている優しさに目を向けてほしかったのではないか?たまたま引き合いに出したのが自分の過去だっただけで、そこに深い意味はないはずだ」
まさか杏寿郎にも話していなかった心の内を自分に暴露していた事実に、小芭内の脳内の処理が追いつかないようで頭を抱えている。
「頭痛がする……それだけであそこまで自分の話しを掘り下げるのか?」
「更紗にとっては、それだけの内容ではなかったのだろう。君が心の内を話したから、更紗もそれに見合う話しを無意識に選んだだけだ。あまり深く考えると底なし沼にはまると思うので、そういうものだと受け入れてやってくれ!」
この師範あってあの弟子あり。
纏う雰囲気は全く違うはずなのに、こうして自分に向ける笑顔が酷似しているように見え、小芭内の頬が思わず緩んだ。
「そうか……とりあえず、何となくお前と相性がいいのは理解した。俺はもう戻るので……鏑丸!!」