第14章 研究と緊急招集
清算するという事がどういう意味を持つのか、小芭内は明言しなかったので確証は持てないが、おそらくそのままの意味なのだろう。
それが分かってしまった更紗は、拳を握りしめて涙を拭い宝石のような澄んだ瞳を見つめた。
「血で言うならば、あの屋敷で誰彼構わず治癒を施した私も大差ないです。全員の素性は知らされませんでしたが、それこそ日の元を歩けない人も混じっていたはずですから」
「いや、しかし……それは……知る術もないのだし、利用されていたのであれば防ぎようがないのではないか?」
自身の悲しみや背負っているものの重さを一切感じさせない、相手を巻き込んでしまうような笑みを向けられ、小芭内はたじろぐ。
「ほら、伊黒様は生まれ持った血で悩まれていますが、私を庇ってくださいます。救いようのない私に、優しい表情で優しい言葉をかけてくださいます。私には伊黒様は綺麗過ぎて眩しいくらいです」
自分を綺麗で眩しいという少女に言葉を返せずにいると、聞き慣れた溌剌とした声が、縁側に続く廊下の曲がり角から響いてきた。
「久しいな、伊黒!ん?更紗もいるのか……って何かあったのか?」
「あ、杏寿郎君!今、伊黒様がすごく綺麗で眩しいと話していたのですよ」