第14章 研究と緊急招集
更紗は不思議そうにその様子を眺めていたが、包帯が全て外されその全貌があらわになると、あまりの痛々しい傷跡に眉をひそめ瞳に涙を浮かべた。
「そ……んな。それは鬼につけられたのですか?」
小芭内の隠されていた口元は、左右に耳へと届きそうなほど切り裂かれていた。
「いや、これは鬼の指示で俺の親族が切り裂いた。その後に鏑丸と出会い、拾った簪で座敷牢の檻を削り取り、抜け出して……煉獄の父親、当時の炎柱に保護された。君と似ているだろ?」
「似ているだなんて……私なんて」
否定しようとすると、鏑丸が更紗の頬から額までヒョイと体を伸ばし、銀色の髪を頭で持ち上げて傷跡をチロチロと労わるように舐めた。
「鏑丸……あまり女子の傷をあらわにするな……俺は甘露寺と同様、月神も凄いと思う。過去の辛さや悲しい出来事を受け入れ、笑っていることは強くなければ出来ない」
小芭内は口元に包帯を巻き直し、溢れ出し頬に流れた更紗の涙をそっと拭う。
「俺はまだ過去に囚われているが、いつの日か……穢れた血を清算して生まれ変われたなら、甘露寺や月神のように笑って日の元を歩きたい。朗らかに笑う彼女の隣りで、相応しい人間となって笑いたい」