• テキストサイズ

月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第14章 研究と緊急招集


更紗は不思議そうにその様子を眺めていたが、包帯が全て外されその全貌があらわになると、あまりの痛々しい傷跡に眉をひそめ瞳に涙を浮かべた。

「そ……んな。それは鬼につけられたのですか?」

小芭内の隠されていた口元は、左右に耳へと届きそうなほど切り裂かれていた。

「いや、これは鬼の指示で俺の親族が切り裂いた。その後に鏑丸と出会い、拾った簪で座敷牢の檻を削り取り、抜け出して……煉獄の父親、当時の炎柱に保護された。君と似ているだろ?」

「似ているだなんて……私なんて」

否定しようとすると、鏑丸が更紗の頬から額までヒョイと体を伸ばし、銀色の髪を頭で持ち上げて傷跡をチロチロと労わるように舐めた。

「鏑丸……あまり女子の傷をあらわにするな……俺は甘露寺と同様、月神も凄いと思う。過去の辛さや悲しい出来事を受け入れ、笑っていることは強くなければ出来ない」

小芭内は口元に包帯を巻き直し、溢れ出し頬に流れた更紗の涙をそっと拭う。

「俺はまだ過去に囚われているが、いつの日か……穢れた血を清算して生まれ変われたなら、甘露寺や月神のように笑って日の元を歩きたい。朗らかに笑う彼女の隣りで、相応しい人間となって笑いたい」

/ 1883ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp