第14章 研究と緊急招集
あれから2日経ち、更紗は完全に回復していた。
と言うより、翌朝には更紗の力が余裕を取り戻したようで、肺の細胞を急速に修復しており、全てが元通りとなっていた。
ただ今まで風邪さえ引かなかった更紗の体にとって今回の負担は相当なものだったようで、体力の低下が見受けられ念の為5日ほど蝶屋敷への滞在が決まったのだ。
そんな中、しのぶからは蝶屋敷内であれば探索しても構わないと許可をもらった更紗は、広い庭に咲き乱れる様々な花や、それに誘われてやってくる蝶を見ていた。
「月神か?ここで何をしている?」
自分の名前を呼ぶ方へ体を向けると、そこには白い蛇を首に巻き付けた小芭内が不思議そうに目を丸くして更紗を見ていた。
「伊黒様!お久しぶりでございます。少し体調を崩しまして、しのぶさんに診てもらっているのです。伊黒様はどうされました?任務で怪我をされたのですか?!」
見た目にそぐわず物凄い勢いで走りよって来る更紗に、小芭内は若干引き気味に体を僅かに後退させている……
「君も体調を崩すことがあるのだな。俺は……かすり傷だ。念の為胡蝶に薬を貰いに来ただけなので、心配には及ばない」