第14章 研究と緊急招集
杏寿郎はゆっくりと更紗の体を離し、ベッドへと横たわらせ掛け布団を首元まで掛けてやる。
そして自身は部屋に置かれていた椅子をベッド脇へ移動させて、そこへ腰を下ろす。
そこへ他の剣士たちの回診を終わらせたしのぶが扉を開けて、静かに部屋へと入ってきた。
「更紗ちゃんのお加減は如何ですか?」
「胡蝶か。お陰で今は落ち着いているように見える」
杏寿郎の返答に頷き、しのぶは穏やかな笑みを浮かべながらベッドのそばへ歩み寄って、更紗の頬や首筋、手首に触れて具合を確認する。
「脈も正常ですし、熱も引いたようですね。このままいい子にしていれば、すぐに良くなりますから安心してください」
遠回しに無理をするなと釘を刺され、更紗は小さく何度も首を縦に振ってから、それでも優しい笑みを向けてくれているしのぶの手を握る。
「しのぶさん、ありがとうございます」
「あらあら、そんなお礼されるほどの事はしていませんよ。私はただ、更紗ちゃんに元気な笑顔を見せてもらいたいだけですから。フフッ、あまり私が貴女を独占しては、煉獄さんが妬いてしまいそうです」
そう言いつつも、しのぶは更紗の手を握り返して頬を撫でてやる。