第14章 研究と緊急招集
「ここで早く治して、煉獄さんの元に戻りましょうね。この辺りは自然も多く空気も澄んでいます、この環境も更紗ちゃんの体にいい影響を与えてくれるので、すぐに良くなります」
しのぶはそう言って更紗の頬から手を離し、杏寿郎へ向き直ってポンポンと肩を叩く。
「1つ聞きたいことがあるので、廊下に来てください。更紗ちゃん、ほんの少し煉獄さんをお借りしますね」
「あ、はい!行ってらっしゃいませ」
更紗の言葉と笑顔に見送られ、2人は部屋を出て暗く人気のない廊下で向かい合う。
「どうした?聞きたいこととは何だ?」
「更紗ちゃんが身体能力を上げたあと、何か体に変化はありませんでしたか?例えば……体のどこかに痣が現れたとか」
どうしてそのような非現実的なことを聞くのかと杏寿郎は首を傾げるが、意味のないことをわざわざ自分を呼び出してまで聞くはずはないので、その時の更紗の様子を思い浮かべ、思い当たることを述べる。
「痣は服で隠れて確認出来ていないが、瞳の色が薄くなっていた!その痣とやらは何だ?何か分かったのか?」
真剣なしのぶの表情にただならぬものを感じ、杏寿郎の心臓が早鐘を打った。