第14章 研究と緊急招集
弱った体で自分の能力を生かす方法を悩み出す少女に、今度は違う意味で杏寿郎の体の力が抜ける。
「全く君は……まずは体調を万全にしてから……」
言葉の途中で、更紗は勢いよく杏寿郎の胸から僅かに離れ、その顔を瞳に映す。
「杏寿郎君!体調は早く良くします!でも、この力が私の命を守ってくれているならば、他の方の命も守ってくれるのではないでしょうか?もしそれが可能であれば、使わない手はないと思うのです!」
更紗の言っていることは最もだ。
柱としては魅力的な話しだが、まずは更紗自身が元気にならなくては先に進まない。
「分かったから落ち着きなさい。また咳がぶり返したら胡蝶に申し訳が立たんだろう?きっと胡蝶も何かしら考えてくれているはずなので、君は何よりも優先して自分の体調を戻すんだ」
「そ、そうですよね……すみません。杏寿郎君に抱き締めてもらえた途端に心が元気になり、舞い上がってしまいました」
シュンと顔を赤らめながら小さくなる更紗に、杏寿郎は思わず笑みを零して先ほどより強く胸に抱き直す。
「あまり愛らしいことを言ってくれるな。ここが家ならば歯止めがきかんところだぞ!ほら、あまり興奮しては体に良くない、横になりなさい」