第14章 研究と緊急招集
やはり気に病んでいたのかと、杏寿郎は心の中で小さくため息を零すが、それを表立ってはしなかった。
……心の弱った更紗が呆れられたと勘違いしても困るからだ。
「謝罪なんぞ必要ない。元気になり、その姿を見せてさえくれれば皆は満足する。俺も竈門少年たちもあの家で待ってるので、焦らず養生しなさい」
いつもより低く、落ち着いた口調に更紗の沈んで揺れていた気持ちが凪いでいく。
それに伴い無意識に強ばっていた体の力が抜け、杏寿郎の胸へと体を沈みこませる。
「ありがとうございます……あの、私の肺の細胞が傷付いていたとの事ですが、やはりあれが原因だったのでしょうか?」
いつも通りの口調に戻った更紗に杏寿郎は安堵し、片方の手を更紗の頭へ移動させて撫でてやりながら答える。
「胡蝶の見解ではそのようだ。命の危険、寿命の短縮を回避させるために君の力がそちらへ集中しており、肺の修復に手が回らない状態らしい。だが、胡蝶の薬と人間が通常持ち得ている回復能力で徐々によくなると言っていたぞ」
「なるほどです!でしたら、私の力を上手く利用すれば、皆さんが身体能力を上昇させても問題なくなるということですね!」