第14章 研究と緊急招集
「なるほど。では更紗の中の力がなくなったわけでも、機能しなくなったわけではないという事か……」
杏寿郎の言葉にしのぶは頷く。
「力を外に出してはいませんので、おそらく体内での異常事態の対処に追われているだけでしょう。肺の細胞に関しては、お薬を処方しましたので力がなくとも、本来人間が持っている修復機能と相まって徐々に良くなります。ですが、よくなるまでは蝶屋敷でお預かりします」
ニコリと微笑んでいるが、有無を言わせぬ強い力が篭っている。
連れて帰られても、更紗が無理をしてまた蝶屋敷へと運ばれてくるのが目に見えているからだ。
ここなら人目も多く、無理も出来ないだろう。
杏寿郎としても連れ帰り、今日と同じような症状が出たとしても対処してやれないので、しのぶの申し出は有難い。
「胡蝶がそう言うならば安心だ、更紗をよろしく頼む!……せめて朝まで側にいてやりたいが、家に新たに迎えた継子が3人とその妹がいるので、1度帰ってやらねばならん」
「いやいや、あいつらも子供じゃねぇんだから、自分のことは自分で出来るだろ。俺が帰りに寄ってってやるから姫さんのそばにいてやれ。目覚めて1人じゃ心細いだろ」