第14章 研究と緊急招集
そんなしのぶの疑問に答えるため、杏寿郎は勧められた通り椅子に腰かけた。
「胡蝶は身体能力を瞬時に上昇させる術を知っているか?それこそ、一般剣士が柱に劣らぬ威力の技を放つほどの……だ」
疑問に対して質問で返されしのぶは訝しむも、答えに繋がるのだと予測して首を振る。
「そのような術は知りません。あるのだとすれば私が知りたい……それを更紗ちゃんが知っていると?」
「知っていると言うより、実際にやってのけたのだ。それで猗窩座……力の強さのみに拘る上弦ノ参に認められていた。なんでも一気に体へと酸素、血液を巡らせ、体温を39度以上、心拍数を200ほどまで上昇させるらしい。更紗の場合は力も巡らせたらしいが、それはこの条件に入らんはずだ」
とんでもない数値に、医療の心得のあるしのぶの瞳が驚愕から大きく見開かれた。
「そのような異常な状態で動けるのですか?……宇髄さんもその現場を見ましたか?」
「俺は闘ってるとこは見てねぇ。だが、派手に身体能力ぶち上がったのを見たし、その後の姫さんの体温の高さは知ってる。しかも胡蝶の言う異常な状態で、姫さんは元気に動き回ってた」
しのぶは口元に指を当てて考え込む。
だが、いくら考えてもそんな状態で動ける人間は記憶にないようで、深いため息をこぼした。