第14章 研究と緊急招集
そして蝶屋敷に到着し、しのぶの診察を受けて処方された薬を飲み与えてもらったベッドに横になると、更紗は糸が切れたあやつり人形のように一瞬で動きを止めて眠りについた。
その姿を確認すると、杏寿郎は安心してそっと頬を撫でる。
「ゆっくり休んでくれ」
そう言って踵を返し部屋を出て、しのぶと天元が待つ部屋へと急いだ。
「待たせた。更紗は今しがた眠った。胡蝶、宇髄、こんな夜更けまで付き合わせて悪かったな」
部屋に入ってくるなり頭を下げる杏寿郎に、しのぶは椅子を勧める。
「お気になさらず。ここでは夜中に急患は日常茶飯事ですので。それよりこちらへかけてください。本来ならば風邪すら患わないはずの更紗ちゃんの肺の細胞が、回復されずに傷付いている理由をお聞かせいただけますか?」
しのぶからすれば明朝元気に蝶屋敷を去っていった更紗が、突然体調を悪くして舞い戻ってきたのだ。
しかも自己修復能力により体内が常に万全の状態で保たれいるはずの少女の肺が傷付いたままというのは、由々しき事態である。
杏寿郎や天元が原因ではないと分かっているが、やはり理由を知りたいと思うことは当然であり自然だろう。