第14章 研究と緊急招集
ホッと息をつく更紗の背を撫でてやっていたその手を、突然肩へ移動させて守るように抱きすくめる。
何があったのかと更紗が辺りを見回すと、目をギラつかせながら姿を現した野良鬼が視界に入ってきた。
「煉獄、下がってろ。こんな雑魚、一撃で」
と天元が言いかけたところで、鬼の背後に笑みを浮かべた女性がフワリと舞い降りた。
「蟲の呼吸・蝶ノ舞 戯れ」
鈴の転がるような聞き心地のよい声が響いたかと思うと、すぐ目の前に、声の主であるしのぶが特徴的な日輪刀を鞘に戻しながら立っていた。
しのぶの背後では突如鬼が苦しみだし、数秒で事切れて地面へ転がる。
「胡蝶!お前の技、相変わらずすげぇな!っと、それより姫さんをどうにかしてやってくれ!」
「えぇ、そのためにここへ来ました。更紗ちゃん、少し沁みるかもしれませんが、これを飲んでください。鎮痛薬が入っているので、喉の痛みが少し良くなりますから」
しのぶは杏寿郎と同じように更紗の前で跪き、瓢箪を懐から取り出して口元へ持っていってやった。
「ありがとう……ございます」
更紗の掠れた声に痛さを想像したのか、しのぶの大きな瞳が細められる。