第13章 新居と継子たち
「ゲホッ……すみません。せっかく皆さんと一緒にいるのに……ゴホッゴホッ、ご心配をお掛けしたくなくて」
シュンとなりながらも咳込む更紗の手を天元が優しく握り直して杏寿郎に視線を送った直後、善逸が湯呑みを持って帰ってきた。
「煉獄さん、水です!これを更紗ちゃんに……」
「ありがとう、黄色い少年!更紗、自分で飲めるか?」
善逸から受け取った湯呑みを杏寿郎が更紗の前へ持って行くと、小さく頷きながらそれを手に取った。
「ありがとうございます……」
湯呑みに並々と入っていた水をゆっくり飲み干し、ようやく更紗の咳がおさまった。
「煉獄、今から胡蝶んとこ行くなら付き合う。おそらくアレが原因だろ」
アレが原因……それだけでこの場にいる全員が理解した。
もちろん更紗が1番理解しているが、首を左右に振って申し出を拒否する。
「もう大丈夫です!落ち着きましたし、明日の朝に1人で……」
「大丈夫なわけがないだろう」
杏寿郎は更紗の肩を抱き寄せ、そのままの状態で立ち上がる。
「竈門少年、黄色い少年、猪頭少年。俺は更紗を蝶屋敷に連れて行く。宇髄には同伴を願うが、君たちはどうする?一緒に来るか?」