第13章 新居と継子たち
柱たちの力強い言葉、激励の言葉に部屋が静まり返ったが、一瞬後にはそれらに応えるように一気に沸き立った。
伊之助は今から鍛錬をすると言って善逸を引っ張り出そうとし、善逸は拒否するていを装って更紗にしがみつこうとして、天元に頭を平手で叩かれる。
そんな中で炭治郎は1人何かを考え込んでいるようで、視線を床に落としている。
それを1番に感じ取った杏寿郎が気遣わしげな視線を送った。
「竈門少年、何か不安なことでもあるのか?」
「あ、いえ。煉獄さんに聞きたいことがあって……ヒノカミ神楽ってご存知ですか?」
今の話の流れだと、何か戦闘に関わるものだろうが、生憎杏寿郎の記憶にはないのか首を傾げている。
「知らんな、それは……猗窩座に日輪刀を投げた際、刃に灯った火と関係があるのか?」
「そうです!俺も誰かに教わった訳ではなく、父が1年に1度、火の神様に祈りを捧げる舞を踊っていたのですが、ここ最近の任務でそれが頭に浮かんで、火を纏ったような技となって出るようになったんです」
嘘を言っているようには見えないが、ヒノカミ神楽や火の呼吸は存在しない。
「俺は炎の呼吸の遣い手だが、炎の呼吸を火の呼吸と言ってはならないと厳しい取り決めがある。俺の記憶にはないが、生家に歴代炎柱の手記があったはずだ。そこに何か手掛かりがあるかもしれん、近々行ってみるか?」