第13章 新居と継子たち

それを杏寿郎も理解している。
そもそも自分の継子に優先順位をつけるつもりはないので、危険な場所に更紗を潜入させるなとは言わない。
鬼殺隊として当たり前の采配を拒否などしないのだ。

そして、更紗も不平不満は漏らさない。
彼女の場合、他の人が危険な目にあって心配するより、自分にそれが降りかかる方がいいと考えているからだ。

「現状だとそうなるだろうな。だが、竈門少年たちも強くなる。任務の際には君にとって大きな力となる……それはそうと宇髄は事前に店に客として潜入していたのではないか？君が奥方たちを先に潜入させるとは思えん」

「何度か潜入したが、微塵も尻尾を掴ませねぇんだ。まぁ、この時点で十二鬼月の可能性が高いんだがな」

十二鬼月と聞き、杏寿郎を始め継子全員に緊張が走った。
つい先日、下弦ノ壱や上弦ノ参と会敵し、下弦ノ壱は倒せたものの上弦ノ参は柱である杏寿郎と、一時的ではあるが、身体能力が飛躍的に上がった更紗の2人がかりでも、追い詰めるだけに終わってしまったのだ。

継子たちに限っては恐怖しても仕方がないだろう。

「最近十二鬼月の出現率高くない？！この前戦ったばっかりなのに！ねぇ、炭治郎なんで？！」

そんな事を尋ねられても……と言おうとしたが、裁判の時の話しを思い出し、更紗を見つめる。