第13章 新居と継子たち
「あれ?姫さん起きちまったのか。疲れてんなら気ぃ遣わず休んで構わねぇのに」
離れの居間に3人が姿を現すと、天元が歩み寄ってきて更紗の頭をポンポンと優しく叩く。
「いえ、1人だけ眠るのは寂しいので……皆さんと一緒にいさせてください」
本心だが幼子のような理由を述べるのが恥ずかしいのだろう、先ほど杏寿郎に見せたように顔を赤くして更紗は俯いてしまった。
天元は決して更紗を恋愛対象として見ていないが、杏寿郎と同じく庇護欲を掻き立てられたらしい。
「相変わらず姫さんは派手に可愛いな!煉獄、姫さんに抱き着いていい?」
「更紗が愛らしいのは認めるが、抱きつくことは認められんな!」
杏寿郎がキッパリ断ったのを聞き、禰豆子が更紗を天元から守るように1歩前へ進み出て両腕を広げた。
「お、噂の妹鬼じゃねぇか!姫さん守ってんのか?その調子で姫さんとか人を守れよ。俺は煉獄や姫さんみてぇにお前を完全に信じたわけじゃないからな」
そうは言っているが、禰豆子と視線を合わせるためにかがみこみ、そっと頭に置く手つきは優しい。
「……む?んむ!」
言葉と行動が一致せず禰豆子は混乱しているのか首を傾げたが、すぐに頷いて返した。