第13章 新居と継子たち
体をビクリと跳ねさせ杏寿郎の肩口からキョロキョロと居間を見渡すが、誰もいるはずがない。
「皆は離れだ。竈門妹は君の髪を乾かしてから、俺が連れていく。疲れているのだろう?部屋へ行こう」
杏寿郎は禰豆子ごと更紗を抱き上げ部屋へと移動を始めるも、すっかり目を覚ました更紗に止められた。
「い、いえ!せっかく天元君も来てくださっているので私も一緒に離れに行きます!少し眠ってスッキリしました」
「無理はよくない。休めるうちに休め」
それでも更紗は頑なに部屋へ行くことを良しとしない。
「私、今は日輪刀もございませんので鍛錬以外は休めます!お願いします!私だけ眠るのは……その……少し寂しいです」
顔を赤くして杏寿郎の胸元に頬を寄せる更紗は、幼い姿の禰豆子に負けず劣らず幼く見え、杏寿郎は庇護欲に駆られギュウッと抱き寄せる。
「仕方がない!だが、眠くなれば遠慮せず眠ること、いいな?」
「はい!ありがとうございます!」
パッと表情を明るくした更紗に笑みを返し、杏寿郎はそのまま離れへと移動しようとしたが、さすがにそれはと言われたので、そっと2人を畳へ下ろしてやった。
そして禰豆子を真ん中に仲良く手を繋いで離へと向かった。