第13章 新居と継子たち
そうして最後尾の炭治郎の姿が玄関から見えなくなると同時に、杏寿郎は居間へ足を踏み入れ、壁に背を預けて眠っている更紗の前で足を止め腰を下ろす。
その後、部屋を覗いてからずっと杏寿郎を見つめている更紗の腕の中におさまる禰豆子の頭に手を置く。
「ずっとそばにいてくれてたのだな、竈門妹。ん?更紗に髪を結ってもらったのか?よく似合っているではないか」
「んむ、んー、んー!」
褒められ嬉しいのか頬を桃色に染めるが、すぐに更紗の濡れた髪に触れ、早く拭いてくれと言うように杏寿郎に視線を送ってきた。
「起こすのはしのびないが、このままだと風邪を……って更紗は風邪をひかんのか?いや、確証はないな」
杏寿郎は禰豆子が押しつぶされない程度に更紗の体を抱き寄せ、耳元で声を掛け夢から覚醒させる。
「更紗、起きられるか?眠る前に髪を乾かさなくては体に良くないぞ。竈門妹も心配している」
「むーー……」
2人に見つめられる中、更紗は長いまつ毛を震わせ、ゆっくりとまぶたを開け現実世界へと戻ってきた。
「杏寿郎君……禰豆子さん……すみません、いつの間にかうたた寝していたようですね。あら?皆さんは?」