第13章 新居と継子たち
天元は善逸のよく動く口を勢い良く平手で制し、自らも声音をひそめる。
「居間で姫さん寝てるぞ。寝息が聞こえる……鬼の妹もいるようだが……煉獄、俺らは離れに移動すっから部屋に運んでやれ。話しは急ぎじゃねぇから今夜じゃなくていい」
杏寿郎は天元の言葉を確認するために、そっと廊下を歩き居間の前へと移動して中を覗くと、本当に更紗が眠っていた。
相変わらず髪を濡らしたまま、禰豆子を腕に抱えて。
「すまない、どうやら疲れが溜まっていたようだ。更紗を運んだら竈門妹を送り届けるので離れで待っていてくれ」
その言葉に全員が笑顔で頷き玄関へ足音を忍ばせ向かおうとしていた炭治郎が足を止めたかと思うと、杏寿郎に向き直り静かに戻ってきた。
「俺が禰豆子を連れて行きますよ?妹のために煉獄さんにわざわざ離れまで来てもらうのも悪いですから」
小さな事にも気を遣う少年の頭を杏寿郎は優しく撫でてやる。
「それくらい構わない、ほら、皆が待っている。先に離れに行っていてくれ」
まだ悩んでいるようだが振り返ると全員が炭治郎を待っていてくれてたので、杏寿郎に従いそちらに向かう決心をつけた。
「ありがとうございます。では妹をよろしくお願いします」