第13章 新居と継子たち
だが、数日後に天元は嫁たちを潜入させるのだ。
まだ時間はあると気を持ち直し、さっさと体を拭いて浴衣を羽織る。
そうして全員が浴衣を着終わり廊下を歩いているが、善逸がずっと天元を睨み付けている。
初めこそ見て見ぬふりをしていた天元も、あまりにもしつこいその視線に苛立ちついに声を荒立てた。
「てめぇ、さっきからなんだ、その目付き!喧嘩売ってんなら買ってやるぞ?!」
「そりゃあ睨みたくもなるでしょ!そっちこそ何なの?!体格にも顔にも恵まれて何なの?!その顔で更紗ちゃんを誑かす気だろ?!でも残念でした!更紗ちゃんは煉獄さんの……」
「黄色い少年、宇髄は奥方たちが3人いる!更紗は宇髄一家から妹のように可愛がられているので、誑かすなど微塵も考えておらん!安心するといい!」
しばしの静寂。
杏寿郎は善逸に言ってはいけないことを言ってしまった。
これは嵐の前の静けさである。
「はぁぁぁ?!3人?!こんな顔と体格がいいだけの男に嫁が3人?!……あぁ、煉獄さんこの人の妄想に付き合ってあげてるんですね、なぁんだ」
「いい度胸してんじゃねぇか!表出ろや、根性叩き直して……って、ちょっと静かにしろ」