第13章 新居と継子たち
2人がしんみりしながらも微笑み合っていると、それをぶった切るように天元の声が風呂場内に響いた。
「お前、姫さんの命の恩人だったのか?!いやぁ、それは派手に感謝してる!なんせ姫さんは、俺の派手に可愛い妹みたいな存在だからな!感謝ついでに、俺の今の任務でも姫さんを同行させることになったら守ってやってくれ!男から!」
少ししんみりした雰囲気だったのに、天元の任務の話しにより杏寿郎の表情に笑顔ながらも一瞬で緊張が走る。
よほど更紗を花街での任務に赴かせたくないのだろうが、個人的な理由で任務を放棄させることは出来ないので、承知しかねたものの依頼が来れば送り出さねばならないのが現実だ。
そんな複雑な心境の匂いを醸し出す杏寿郎に眉を下げながら、炭治郎は天元へと向き直り詳細を確認する。
「男からと言うのはどういう意味でしょうか?俺で守れるなら守りますが」
「俺の今請け負ってる任務が花街での任務だ。色々策を練ってるが、姫さんを同行させねぇといけなくなる可能性がある。その時ずっとじゃなくて構わないから、姫さんが男の客に騙されねぇように見てやっててくれ。あ、煉獄。出来れば他の2人も借りたい!」
突然の増員依頼に杏寿郎は目を丸くし、今までのやり取りを珍しく静観していた2人は突如として巻き込まれ呆然とするが、その後それぞれの反応を示した。