第13章 新居と継子たち
あの裁判の場で終始一貫して陰ながら禰豆子を守ろうと実際に行動に移したのは更紗だけだ。
杏寿郎を含めほとんどの柱が、鬼である禰豆子に対して嫌悪感や懐疑心を持ち、何かあれば頸を斬ろうとしていたあの場で。
「君が命の恩人で心優しい少年だからではないだろうか?そんな君が隊律違反を犯してでも、鬼の妹を連れ歩くならば理由があるはずなので理由を知りたいと言っていた。理由を知ってからは、ただただ竈門少年が大切に思っている妹を信じ、守ってあげたかったのだろう。多くの者の命によって守られている妹をな」
あの時聞けなかった更紗の心の内。
本人から直接聞けたわけではないが、誰よりも更紗と共に過ごし、多くの時間を共有している杏寿郎が言うのだから間違いはないだろう。
「そんな……ほんの少し一緒に闘っただけなのに。それだけなのに……本当に……ありがとうございます」
炭治郎は目に涙をためながら杏寿郎に頭を下げるが、肩に手を置いてそれを上げさせた。
「俺ではなく礼は更紗に言ってやってくれ。まぁ、大したことしてないので礼は必要ないと言うだろうが」
「あんなにしてくれたのにですか?……そう言われたとしても、やっぱり直接感謝を伝えようと思います。でも、煉獄さんにも感謝しているんです。こうして俺だけでなく、禰豆子も家に置いてくれましたから」