第13章 新居と継子たち
「煉獄さん、聞いてもいいですか?」
「ん?何だ?」
更紗が悶絶している時、すでに母屋の風呂では体を洗い終えた男たちは広い浴槽内に身を沈めていた。
「どうして俺を継子にしてくれたんですか?伊之助や善逸なら分かりますが、俺は禰豆子を連れてます。普通は避けたいはずなのに……」
「俺も気になってた。姫さんに説得されたってわけじゃねぇだろ?煉獄の意志に反することを姫さんが説得するとは思えねぇし」
杏寿郎は裁判後に同じ事を尋ねてきた少女を思い出し、笑顔で2人の質問に答えた。
「それは竈門少年が自分より遥かに格上の不死川を前にしても、守ると決めた妹を守るために立ち向かった心と、鬼舞辻を必ず倒すという言葉に揺るぎない信念を感じたからだ!あと、竈門少年と妹が優と同じ優しい瞳をしていた事も理由の1つだな!」
今頃、禰豆子を前に頬を緩ませ存分に甘やかせているだろう更紗の姿を思い浮かべ、更に杏寿郎の表情が柔らかくなる。
その表情の理由を感じ取った天元は言葉を発さず、つられたように笑みを浮かべた。
柱2人が笑みを浮かべ、なんとなく話しやすい雰囲気になり、炭治郎はあの時の自身の心境を語る。
「あ、あの時は必死で……善逸の姿も伊之助の姿も見当たらなくて、知った顔は更紗だけで……そう言えば更紗はどうしてあんなに禰豆子を守ろうとしてくれてたんでしょうか?」