第13章 新居と継子たち
そんな少女を前に全員が静まり返るもそれはまだ早い。
これから更紗が話すことは道場で杏寿郎が天元に話していた推測そのままの内容なのだから。
「そのような状態ですので、肉体的負担は相当なものです。鍛え抜かれた柱の方々であっても、私と同じ事をするとそれこそ命に危険が及ぶ……もしくは寿命を大幅に削られるはずです。甘い考えだとは思いますが、私は皆さんにこれをしてほしく」
「待て!」
突如として隣りに座る杏寿郎が体を更紗に向け、肩を強く掴んだ。
その手は僅かに震えているように見える。
「俺たち云々より君の体の心配が先だろう!よもや大幅に寿命が削られた……などと言わんだろうな?!」
更紗の言葉を遮った杏寿郎の声音には少しばかり咎めるものも含まれているが、大半は更紗を心配するものであった。
いつもならば的中する杏寿郎の心配事も今回ばかりは外れたようで穏やかな笑みを杏寿郎に向ける。
「大丈夫です、急激な体調の悪化に力が反応したようで、寿命が減る間もなかったと思います。1つ問題があるとすれば即座に中和されてしまうので、副産物の余韻しかお零れをもらえないことくらいです。本来ならばもっと長時間、副産物を使用できるはずです」